グスタフ・クリムト シーレとの関係 シーレが美術アカデミーに入学したその翌年、 当時ウィーン世紀末美術の中心的な存在であった、グスタフ・クリムトに出会います。 シーレの才能を誰よりも認めていた人物でした。 お互いのデッサンを交換したいとシーレが申し出た際、自分の作品と交換するのでは 一枚じゃ足りないと思い、クリムトは複数のデッサンを差し出しました。 クリムトは、 「君は私よりもよく知っているのに、なぜ交換なんてしたいと思ったのだろう。」と不思議がったそうです。 クリムトは自身のモデルでもあったヴァリーをシーレに紹介。 さらには画商にまで会わせるなど、何かと面倒をみてくれた存在でした。 自分のためにそこまでしてくれたクリムトを、シーレは特別な存在として感じていたのは言うまでもありません。 お互いの関係は師弟関係として発展していくのですが、 ただ単に、師弟関係という枠にはおさまりませんでした。 28才という年の差がありながらも、お互いを理解し合う 友人同士という関係に近かった・・・と言われています。。 グスタフ・クリムト ![]() この絵はクリムトの代表作と言ってもいい作品「接吻」。 クリムトがこの作品を発表すると同時に、国が真っ先に買い上げたといわれています。 幸せの絶頂にいる二人は、自分たちが崖の上にいることなど気づいていません。 二人の未来が、決してこのままで終わるわけではないことを暗示しています。 ですがこの幸福と不安の要素が、逆にこの絵をいっそう魅力的にしているのです。 クリムトについて知りたい、絵が見たいという方はこちらのサイトさんがおすすめです。 シーレとの違い シーレとクリムト。両者に共通するテーマは「生と死」、そして「エロス」です。 当時は保守的な時代。エロスをテーマとすることは、とても風当たりが強かった・・・。 そんな中で、同じテーマを重要視する者同士、絆が深まるということは当然なのかもしれません。 ・・・ですがその作風の違いはハッキリと分かれていました。 シーレが多くの自画像を残し、自分の内へ内へと迫っていったのに対し、 クリムトは「題材としての自分に興味がない」と言い、自分自身をまったく描かない画家でした。 シーレがクリムトの作品を意識して描いたにしても、 表現の仕方がこうも違うと・・・。 ![]() 上に掲載したクリムトの作品、「接吻」を明らかに意識した作品ですが、別の表現を用いています。 この作品だけでも十分、二人の違いがわかるような気がしますね・・・。 クリムトが生と死、エロスを「妖艶な美」で表現しているのに対し、シーレの方は 「恐れと不安」に満ちているものが多いのも特徴です。 備考 近年明らかになったことですが、クリムトが残した女性の絵は、まず裸体を描き、 その上に服を着せるように描いていったことがわかりました。 未完のまま残された作品により明らかになったそうです。 裸体の上から服を描くにもかかわらず、裸体を驚くほど細かいところまで描いていたとか。 正確な人体を描きたいだけであれば、そこまでする必要はないようにも思えますが・・・ クリムトは自分なりに、何らかの思いをこめていたのかもしれませんね・・・。 トップページへ |